パレスチナ・ガザ地区で、妊婦と授乳中の女性の深刻な栄養不良が急増し、新生児の低出生体重が戦前より倍増していることが、ユニセフの分析で明らかになりました。2025年7〜9月には、出生児の約10%にあたる月平均460人が体重2.5キログラム未満で生まれ、2022年の月平均250人からほぼ2倍に増加しました。
ユニセフによると、2025年前半は総出生数が減ったにもかかわらず低体重児が増え、7〜9月には1日あたり約15人が低出生体重で生まれています。生後1日以内に死亡した新生児も、2022年の月平均27人から、同年7〜9月には47人へと75%増加しました。低出生体重児は標準体重児より死亡リスクが約20倍高いとされ、崩壊した医療体制と相まって致命的な影響が出ていると説明しています。
背景には、避難生活によるストレスや食料不足、妊婦健診の中断があります。7〜9月にユニセフとパートナーが検査した妊婦の約38%が急性栄養不良と診断され、2025年10月だけで8,300人の妊婦・授乳婦が治療を受けました。ユニセフは保育器や人工呼吸器などの医療機器を追加供給し、停戦後は4万5,000人以上の妊婦・授乳婦に栄養補助食品を配布、5歳未満児15万人超の栄養状態を検査し、1万4,000人以上を治療プログラムに登録したとしています。
一方で、支援物資の搬入制限や医療スタッフの不足により、必要な規模の対応には至っていないと懸念を示しています。今後数カ月は低体重児の増加が続く可能性が高く、ユニセフは妊産婦の栄養支援拡充と医療体制の強化、栄養価の高い商用食料品の市場供給拡大が不可欠だと訴えています。
【募金情報】
ユニセフ「ガザ人道危機緊急募金」
支援対象:ガザ地区を含むパレスチナの子どもと家族
詳細・寄付方法:ユニセフ日本委員会公式サイト内 特設ページ参照
source: PR TIMES
